極道の義娘は失声症
ー私にも入れ墨彫ってください
玲華さんは困った顔をする
仁さんも困っていた
ー覚悟は出来ています
「どんなに駄目と言っても?」
ーはい
私の目を見る
曇り無き目を見た二人は
「何にする?」
「蛇か?」
承諾してくれた
私はもう決めている
ー玲華さんの蛇と龍!
「きゃあ!私とお揃いなのね!」
「俺のは?」
ー仁さんの色にする!
仁さんは嬉しそうにしている
二人の色と模様にしたいと決めていたのだ
いざ彫る人を見る
「今日は,ひーめ」
(ー!?)
姫って何で?!
私は固まるとその人はクスリと笑い
「可愛いね,幼いのに大人びてる」
ふっと息を耳に掛けられる
私は困ったように身を震わせた
「何処に入れる?背中?」
ーはい
「色は?」
ー仁さんの青で
「なら始めよ?色ならかなり掛かるから」
初めから終わりまで凄く痛かった
だけど
必死に我慢して耐える
終わると鏡に映った
(まだ墨何ですね…)
「これで一ヶ月後ね」
ーはい!
よしよしと頭を撫でられる
名前を聞こうとすると
「希だよ」
「ー!」
ペコリと一礼した
希さんは微笑み
「二人ともこの子貰って良い?」
「「駄目!」」
(ー?貰うって何を?)
私は一ヶ月ヒリヒリする痛みに耐え続け
色を入れた

一部分の額だけ赤だった
「僕の色~」
「「おい!」」
ーありがとう!
私の微笑みに希さんが私を抱き締める
「ー??」
「「離れろ!」」
「ひっどーい」
私はクスクスと笑い三人のやりとりを見ていた
この入れ墨は決して二度と消さない
そう決めた
大好きな3人と皆のために!
「痛くない?」
ー大丈夫!
「本当か?」
ーはい
両手を握る二人だけど書く時だけ離してくれる
私は背中を見せようとして止められた
「女の子だから」
「うんうん」
ー?はい
何故止めたかは分かりますよね?
入れ墨が完成し,着替えているとクラッカーの音がした
「十四歳おめでとう!」
「ー!」
ーありがとうございます
「勿論よ!さぁケーキもあるわよ!」
ケーキはショートケーキの大きいの
だけど
皆がいない
ー皆は?
「内緒!」
ーえ?は,い
「皆!礼!」
仁さんが大きな声で言った後
皆が大きなプレゼントを持って出て来る
ーえ!?
私は固まった
「「姫さん!お誕生日おめでとうございます!」」
「おめでとう!湊」
「おめでとう」
涙が溢れる
ありがとう
「ぁ………ぅト」
「「「喋ったーーーーー!!」」」
とても騒がしく
楽しい
お誕生日でした!
「しっかり喋ったわ!」
玲華さんが私の頭を撫でる
「ー?」
また喋れない
「慣れていこうな!」
仁さんが優しく言ってくれる
「ー!」
ーはい!
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