甘美のチョコ
「あ!チーズケーキじゃん!」
わぁ、美味しそう!と
わたしの掌(てのひら)から奪った
「あの…!それ、転けたときに
手離して…その、落としちゃって…」
今思い出すと悲しくなり徐々に
声が勝手に小さくなっていった
「ねぇ、えーっと?伊藤ちゃん
これ、私たべていいかな?」
雫さんはわたしの顔を伺うように聞いてきた
「ぐちゃぐちゃのでよければ…」
わたしはOKした。
「ありがとう」
そうして雫さんはラッピングを解き
少し型が残っているチーズケーキを食べた
どうなんだろうか…
お父さんは 上手い上手い言ってくれたが…
司くんへあげるつもりだったのだが
罪悪感というのは無かった
「伊藤ちゃん…」
「は、はい」