朝いちばんの君。
第一話 佐山
ざわざわと教室に響く声。

1限目が、始まろうとしていた。

「佐々木、ノートみしてくんねぇ?」

またか。

隣の席の佐山がへらへらと頼んできた。

「別に、良いけど…」

あ、ちょっと冷たい口調になっちゃった。

大丈夫かな?

不安げに見つめ返すと、

「まじ、ありがとうな!」

と嬉しそうに、にっと笑顔を見せてきた。

眩しい。



よくやけた肌にがっちりとした筋肉、

醤油顔で、笑顔が可愛い。

あぁ、わたしの理想は塩顔なのに。

どうしてこんなにかっこよくみえるんだろう。

こんなに好きになってしまったのだろう。

最近のわたしはふわふわしている。

恋ってすごいなって思ってる。



そんなことを考えていたら、1限目なんかすぐに

終わってしまった。

「なぁなぁ、佐々木みて、」

とにやにやしながら佐山が、わたしの肩をトント

ンしてきた。指を指された方向を見ると、

中山くん(佐山の友だち)が鼻ちょうちんを膨らま

せながらいびきをかいて寝ていた。

笑ってしまった。

佐山がまた変な風に笑うから

私もつられて笑ってしまう。

佐山は

「中山、傑作だぜ」

とか言って写真を撮っていた。

中山くんも途中で「ふがっ」とかいうから

また2人で笑いあった。


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