朝いちばんの君。
小林さんが現れてから、

佐山と話すことが少なくなった。

私が避けてたのかもしれない。

ふたりが一緒に帰るところも見かけた。

その間は自分がどれほど佐山に依存していたのか

身に染みて理解した。

辛くて、帰り道は泣いていた。

1人で長い長い川沿いをゆっくりゆっくり

歩きながら。

川の流れは恐ろしく静かで、私の心が現れ出た

ようだった。






遠くで背の高い男が見えた。

慌てて涙をひっこめる。

アレ、よく見るとウチの学校の制服?

思わず足を止めて、見とれてしまった。

だって、ものすごく綺麗な顔をしていたから。

男は私に気づき、「何?」

と、警戒した低いこえで一言。

私は、自分にびっくりして

「あ、ごっ、ごめんなさい。」

と情けない声を出してしまった。

「え?泣いてんの?」

と、私の顔を覗き込む。

私はその人から顔を離した。

「ごめんなさいなんでもないんです。」

引き気味に私はその人に謝った。

「いや、別に…俺は良いんだけどさ、

あんた、大丈夫なの?」

一瞬その人に、佐山が重なって、

喉元が熱くなって。

ぽろぽろと涙がこぼれおちた。

その人は目を見開いた。

私は踵を返して彼の元から走り去った。

普段運動なんかしない私は思いっきり

息を切らしながら、一生懸命走った。

もう、鼻水と涙が混じって

ぐちゃぐちゃな顔だったけど。







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