朝いちばんの君。
屋上のドアは空いていて、
あっさり入れた。
初めて来る屋上。
風が気持ち良かった。
空がきれいで青くて。
それで、
寝転んだ。
諦めの悪い私がどうしようもない。
それでもあいつが好きだった。
諦めたくなかった。
5限目はサボろう。
そして、具合が悪いからって帰ろ。
友達いないし。慰めて欲しいなんて
思わないけど。今はちょっと寂しかった。
だから、少しだけ泣いた。
「あのさぁー大丈夫?君。」
急に上から声が降ってきた。
え?うそ。誰か居たの?
起き上がって上を見た。
すると、
昨日のイケメンが気だるそうに座っていた。
え。
こんなことってある?
泣き顔、2回もみられたし。
「はい、あげる。」
冷えたポカリが飛んできた。
「なんで、これ…」
「目、冷やしなよ。凄いことなってるよ。」
それは彼なりの気遣いだった。
と、思う。
____
彼は意外と優しい人だった。
私はなぜだか、
彼に今までの事を吐き出していた。
「へぇ、」「あーね」「ふーん」
とか、つまらなそうに聞いていたが
たまに、辛かったんだね。とか、
優しい言葉をかけてくれる。
すっと心が晴れていくような気がした。
後からわかった事だが彼は私の1個下の後
輩で、大崎圭介という人物だった。
それなのに私は情けない顔で「どうしよう」
と、連呼していた。
すると黙っていた彼はこう言った。
「じゃぁさ、告れば。」
「へ???…話きいてた??」
「うん、でもけじめつけた方がいいと思う
最後、告って、ばっさりお別れしな。」
彼は私より年下なのに、
すごく大きな存在に見えた。
その時は忠実にしたがった。
そうするしかないと思ったから。
「わかった。」
そう言って私は立ち上がった。
もう、弱っちい私じゃなかった。
「あんた、ありがとう。私告ってくる。」
「…また、なぐさめてやるよ。」
彼は笑った。
あんまりに眩しかったから目をそらした。
そうだこいつイケメンだった。
放課後の日差しが刺さるように照りつける。
もう、二時間も彼と話していたのか。
私はすっかり軽くなった心と共に、
佐山の元へ向かった。