最初で最後の愛の話
「えっ!?嬉しい!!」

愛の笑顔を見るとホッとする。愛は真剣な表情で僕の書いた小説を静かに読み始めた。

しかし、読んでいる最中に愛の表情はコロコロ変わる。笑ったり、切ない表情になったり、見ていて楽しい。最後には涙をこぼし始めた。

「……とってもいい小説だね。こんなの書けるなんて、ミコトくんはすごいよ!絶対賞を取れる」

泣きながら愛はそう言い、僕は嬉しくなる。好きな人にそんなことを言われて、幸せにならないわけない。

「ありがとう。とっても嬉しい」

読んでもらった小説は、高校の頃からずっと書き溜めていたウェルナー症候群の小説だった。ウェルナー症候群の女の子と、普通の男の子との切ない恋の物語となっている。

「最後に二人が天国で再会するシーン、あそこが好きだな」

切なげに愛はそう言う。最終章で、生涯を全うした主人公が先に亡くなった女の子と再会する。綺麗な花畑で二人は再会し、キスを交わすのだ。
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