最初で最後の愛の話
「見せるわけないじゃん」

後ろで何か喚く透を無視し、僕はノートを広げる。ノートには人の名前と性格、などが書かれていた。僕の趣味だ。

「また小説書くのかよ」

僕の頭に透が腕を置く。鬱陶しい。

「別にいいでしょ。将来は小説家になりたいんだ。もうすぐコンテストもあるし」

僕はスマホの電源を入れ、小説を書くアプリを開ける。自分の書いた作品も増え、ファン登録してくれる人も多くなってきた。これほど嬉しいことはない。

ノートに書かれた人物の特徴とストーリーを見ながら小説を書いていく。この瞬間が楽しくてたまらないんだ。

後ろを見れば、透は男子数人と固まって話している。ゲームの話で盛り上がっているみたいだ。

周りを見れば、僕以外みんな誰かと話している。人は第一印象が大切で、それを逃すと人の輪に入れない。だからみんな新しい環境に慣れようと、相手に気に入られようと必死になっている。そんなに急いでもプラスになることなんてないのに……。
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