梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 女子たちの騒ぐ声の響く廊下から教室のドアをくぐってやってきたのは、紛れもなくハルだった。

 私はいてもたってもいられずに駆け寄る。

「なんで? どうして?」

「おはよう。僕のお姫様。今日はすごく積極的だね?」

 そんなことを言って、ハルが私をこれ見よがしに抱き寄せる。積極的なのはハルのほうだ。

 女子たちがまた一段と騒がしくなった。もしかして、私が嫌がらせを受けないようにキャラ設定を変えているの……?

 やっと会えた嬉しさと、王子様キャラになったハルの甘々な態度にクラクラする。

「バカ! 今までなにしてたの! 待ってたんだからね!」

「待たせてごめん。新しい『門』がやっと開いたんだ。会いたかったよ、朋香」

 耳元でハルが甘く囁いた。一回り大きくなった満開の角から、優しい春の香りが漂って、私は懐かしいその香りに包まれた。




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