梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 ここ数日、緊張しておはようとかさよならの挨拶がやっとだったから、心臓が飛び出そうなほど嬉しかった。

 おかげで普段より噛み噛みで、恥ずかしかったけれど。

「あのっ、梅咲君! さっきはありがとう」

 授業が終わったあと、思い切ってお礼を言ってみた。

「ああ、お礼を言われるようなことじゃないよ。お役に立てて何より」
「う、うん」

 ニコリ、と梅咲君が笑った。同時に、角の先にあった梅のつぼみが、パっと咲いた。

「ん? どうかした?」

「う、ううん、何でもない! ありがとね!」
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