梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 梅咲君は、私が一部始終を見たことに気付いていないようだ。

 至って普段通りに振舞っている。

「そうじゃなくって。ファンタジー版光源氏みたいな格好して満開の梅の木から出てきたでしょ」

「え?」

「それにずっと気になってたの。その角、そんな派手なのになんでみんなには見えてないの? 梅咲君、何者?」

「……大変だ。小松さん、それ本当? マジで言ってる?」

 梅咲君は、口もとを手で覆って、慌てたような雰囲気で俯き、少し考えこんでいるようだった。

 大変って、何だろう。
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