梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 それって耳元で囁くよりも近くでってことじゃない? 私、無自覚にものすごい恥ずかしいことしてたんじゃ……?

 梅咲君も真っ赤な顔だけじゃなくて、満開なのにまだまだ咲き続ける角で分かりすぎるくらいに照れている。

「でもそれだと、私、梅咲君のお父様にも告ってることにならない?」

「だから、前提がね。僕が小松さんを意識しちゃってたからなんだよ。世界中の春好き人間の想いをいちいちダイレクトに受けたりはしないんだ」

「ああ、そっか」

「って、もう僕いい加減に恥ずかしいこと喋りすぎじゃない? ……小松さんは、その、迷惑じゃ……ないかな?」

 あ……

 そうだ。私、告白されているところだった。しかも、結婚前提のやつ。

 テンパりすぎて、すっかり他人事というか映画でも見ている気分で聞いていたのだ。
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