梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 息が苦しい。心臓が早打ちしすぎて止まってしまいそう。

 相手が自分を好きだと言ってくれている時点で、振られることがないのをわかっているのに、こんなにもドキドキする。

 たった一言を言うだけなのに、こんなにも。

「梅咲君……あのね」

「……うん」

 喉まで出かかっている言葉が、なかなか飛び出してくれない。

 言え朋香。

 ちゃんと。

 梅咲君が待っているんだ!

 心の中で自分の背中を叩く。実際は背中を叩けないから、お腹にぎゅっと握りこぶしを押しつけた。
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