梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
「私もずっと梅咲君のこと……好き、です」

「うおーー!! やった! ありがとう小松さん!」

 口から飛び出しそうな心臓をなんとか堪えて、やっとのことで言えた言葉。

 私がそれを言い終える前に、梅咲君がガッツポーズをして飛び跳ねた。

 と、その着地と同時に、梅咲君の足元からシロツメクサや春の野花が咲き広がって、校庭の花壇も、校門のソメイヨシノも、見渡す限りの辺り一面が花に包まれた。

「う……そ。これも私にだけ見えてるの?」

「ううん。これは、僕が妻を見つけたことが精霊界に承認された証だから、じきに世界中が春になるよ」

「え! そんなの、めちゃめちゃ異常気象じゃ……」

 規模がおかしい。世界中って、地球が全部春になるの? 精霊の王様、じゃない、王子様の力ってどんだけ凄いの?
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