梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
「だいたい小松さん、校内試験の順位でいったらA組の底辺でしょ。見た目だってダッサイし理解できないよ、ねえ」

 仁王立ちする女子の言葉に、他の女子たちも鼻をすんすんさせながら頷いたり睨んだりと、形は違えどそれぞれが同意の意志を表している。

 確かにその通りで、言い返せない。

 私はどうしようもなく悔しくて、唇を噛むしかできないでいた。

「……だよ」

 それは小さく、だけど大地の底から響くような低い、威圧感と威厳のある声だった。

 その声は梅咲君のもので、一瞬でその場の空気が変わったのがわかった。

 女子たちの嗚咽も、男子たちの物見高なひそひそ声も、息を止めたように静まり返る。
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