梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 宇目崎家は日本人なら誰でも知っているというくらい、様々な事業を展開する超巨大企業グループ。

 だから周囲が緊張せず他の子と同じように学習できるよう、梅咲、と名を変えて通学しているのだという。

 元来、世界の王族や古くからの伝統ある家というものは節王や上級精霊の気脈を受け継ぐ者が営んでいるのが多いのだそう。

 ちなみに『門』はあのキラキラ光った梅の木のこと。

 精霊界とこっちの世界を繋ぐ役割をしているらしい。一族につき、同時期に一つしか存在しない貴重なものなのだそう。

「あの、こう申すのもなんですが……うちの朋香のどのあたりが、その……」

 お父さんが至極尤もな疑問をストレートに出してきた。

 それは娘に対して失礼だと思いつつ、そう訊きたくなる気持ちが痛いほどに理解できる。だってあの宇目崎グループだ。
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