梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 女子たちの視線が痛い。

 梅咲君は、放課後あまり遅くまでこっちの世界にいられないのだ。昔ほどの弱さではないにしても、いまだに半日は精霊界での静養が必要だからである。

 そういうわけで、学校でこういう話になることもしばしば。

 女子たちから嫌がらせを受けていることは、梅咲君には話していない。言ったら心配するだろうし、またあの「お怒りモード」になられたら困る。

 けれど、こうもオープンに話されては、嫌でも見聞きしてしまうほうの気持ちも考えてしまう。

 好きな人の結婚話を聞きたい子など、いるわけがないのだから。

「もうちょっと人のいないところで話そうよ。だいたい、どうしてそんなに結婚を急ぐの?」

 私はできるだけ小さな声で梅咲君に質問をした。
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