梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 私がそれをはじめて見たのは、忘れもしない小学一年のとき。

 梅咲君は四月の終わり頃に転校してきた。

 体と同じくらいの大きくて綺麗な頭飾りを付けた、変わった子だというのが第一印象だった。

 だけど先生もそれについて何も言わないし、他の子もまるで見えていないみたいに話しかけていた。

 だから私はなんだかそこに触れてはいけないような気がして、遠巻きに見ていたのを憶えている。

 能や神社のお祭りとかで『春の神様』なんて役があったら、きっとこんなふうなんじゃないかと想像して眺めていたのだ。
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