梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
「もしもし? 真央、どうし……え? あ、待って真央!?」

「小松さん? 高田さん、何かあったの?」

 耳を疑った。

 信じたくなかった。

 けれど甲高い声でまくし立ててすぐに切れた真央の悲痛な声が、頭の中でビリヤードのように跳ねまわる。

「田村君が……車にはねられたって……」

「なんだって!?」

「赤十文字総合病院だって! 行かなきゃ!」

「僕も行くよ!」

「体、大丈夫?」

「今そんなこと言っている場合じゃないよ!」

 私たちは、家とは反対方向の病院に向かって、景色が真っ白になるほど全力で走った。
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