梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 ハルがケヤキに触れて、何か念じているようだ。

 ハルと手を繋いでいなくても、禍々しく空気が淀んでいるのがわかるほどで、ケヤキの側にいるだけで息が苦しくなりそうだった。

「朋香、一緒に手を重ねて」

「う、うん」

 おそるおそる、ハルの手の甲に触れる。

 ぬるり、と重たい。

 すりおろした山芋と泥と混ぜて、そこに手を入れたような不快感。

 そしてハルが鎮まれと念じているのを、ケヤキが拒絶しているのを感じた。
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