梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 ケヤキは田村くんの目の前に自身の光を集めて、塊のようなものを作り始めた。

 やがてそれは不安定でいびつなヒトガタを形成した。

「ダメた! そんなことをしたら…っ!」

 慌てるハルが止めようとするも、光のヴェールを失ったケヤキはどんどん葉を落としてゆく。

「え…まさか枯れちゃうの?」

「精霊の力は命そのものなんだ! 加護を与えるのだって命を削って渡すんだよ。こんなことをしたら木そのものがダメになってしまう!」

「来いよ、俺の方は覚悟できてるぜ」

 田村くんがトン、と自分の胸を叩いた。

 ヒトガタにいびつな光の束が降り注ぎ、ケヤキはあっという間に枯れ果ててしまった。
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