梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
 愛の力……本当に、その通りかもしれない。

 いつも通りの田村君に、真央が涙を浮かべながら憎まれ口をきいている。

 よかった。ちゃんと日常だ。

 枯れてしまったケヤキを除いては……

「ゼロになってなければ、どうにか……」

 そんな二人をよそに、ハルが、ケヤキの根元に手を当ててまた何かを強く念じているようだった。

 私も慌てて手を重ねる。

 ハルの手の温かさだけが伝わる。

 つまり、ケヤキの気は感じられない。

 やっぱりダメなのかな、そう、諦めかけた時。
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