梅咲君にはツノがある ~私、節王様と結婚します!~
「ない……ない。ハルの写真がない」

 一緒に撮った写真も私しか映っていないのだ。これじゃ、どう考えても私が間違って消したなんてことはない。

 ハルの存在自体が、まるで最初からなかったように綺麗に消えている。

『翔太にもきいてみたけどやっぱわかんないって。ごめんね、今日は翔太とデートだからリプ返遅れるかもだけど、また何かあったら声掛けて~』

 真央からだった。田村君まで知らないとなると、やっぱりそういうことなんだ……

 でもなんで?

 ふと指に目をやると、ハルの気で出来た指輪もなかった。何もかも、リセットされてしまっている。

 とにかく、ここで考えていても仕方ない!
 
 空虚な手を強く握りしめ、精霊界へ行ってみようと出かける準備にとりかかった。
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