後輩くんは溺愛を隠せない
5.真面目なキミ
「柏木~お前黒瀬と2人で、ここ行ってきて」
6月も終わる頃、部長にそう言われて渡されたのは、新しく出来た旅館の資料だった。
「出張......ですか......」
「うん、そう。雰囲気実際に見た方がお客様にも進めやすいだろ?
それに、黒瀬も仕事に慣れてきたみたいだし何事にも経験が必要!」
たしかに、夏樹くんも1ヶ月以上たって仕事にも慣れてきていた。
経験は必要だけどーー、出張なんて、久しぶりすぎて緊張する。
なにせ、私が行ったのは研修中に先輩に着いて行った時だけ。
1人で仕事が出来るようになってからは行ったことがなかった。
「休み取っていいから、泊まってきていいぞ?
それに、この季節は流れ星が見えるかもしれないらしい」
「分かりました!行きます!」
仕事で自分達が泊まれるなんてそうそう無い。
私は、夏樹くんと2人でとか、仕事だからとか、そういうのを忘れて、了承をした。
もちろん、仕事だから経費で泊まれる。