後輩くんは溺愛を隠せない
「わかってますよ~」
「......」
わかってなさそうな答えだ。部長には行くと言ったけれど、行く前から不安になってくる。
行くと言ってしまった手前、今更断れるはずもないので、行くしかないのだけれど......。
「はぁ......」
不安もあるけれど、私だって楽しみだとは思っている。
それから1週間、私たちは出張に行くための日程調整と準備をした。
***
出張当日の朝ーー。
「忘れ物......ないよね?」
キャリーケースに必要なものを詰め込み、支度を済ませた。ちょうどその時ーー。
~ピンポーン~
玄関のチャイムが鳴った。
「もう、こんな忙しい朝に誰よっ!」
普段は家に来る人なんて居ないのに、出張の日の朝に人が来るなんて......。
「はーい」
とりあえず出ないとーーと思い、インターフォンのモニターをよく見る前に返事をした。
『紗知先輩!おはようございますっ!!さぁ、出張に行きましょう』
「夏樹くん......?」