後輩くんは溺愛を隠せない
「今日から、私が指導することになりまして......もし、なにか失礼なことがありましたら、遠慮なく仰ってくださいね」
「気にする事はないよ。柏木さんは、私達に良くしてくれているし、誰だって最初はあるからねぇ」
佐藤様はすごくいい人だ。
最初が、このお客様で良かったかもしれない。
「ありがとうございます。では、早速この前の続きを決めましょうか......!」
「そうね、よろしくお願いします」
「はい。私の方でいくつかご用意させて頂いたのですがーー」
そう言いながら、私は準備していた資料を出す。
「佐藤様の予算で、ご希望を入れるとこの当たりがよろしいと思うのですが、気に入ったのはございますか?」
前に来店された時、2人でのんびり観光に行きたいと言っていた。
郷土料理が食べれて、温泉があるところ。
そしてーー近くに観光地がある、そんな宿。
特に、難しい注文でもないし、ツアーでもないので、たくさんの中から選べる。