後輩くんは溺愛を隠せない
「それでは、こちらで予約させていただきますね。確定しましたら、書類の方はご自宅に配送でよろしいでしょうか?」
「はい。よろしくお願いします」
「かしこまりました。それではありがとうございました。佐藤様、ご旅行楽しんでください!」
「「ありがとう。」」
チケットや、予約の書類などは手渡しか郵送で選べる。
ーー佐藤様はいつも郵送だ。
話がまとまったことに満足して、満面の笑みで佐藤様夫婦は帰って行った。
「ふぅ......。で?質問でもあるの?」
お客様を送り出してから、夏樹くんの熱い視線を感じて振り返りながら言う。
「あ、......でも......」
次のお客様が来ると思っているのか、聞いていいのか戸惑いながらそう言った。
「次のお客様が来るまで、時間はあるから大丈夫よ」
そう言いながら、私は空いている会議室のドアを開け、夏樹くんを入れる。
本当ならデスクに戻り、次の準備をしながら聞くのだけれど、佐藤様の対応の時、夏樹くんは横でメモを沢山書いていた。