後輩くんは溺愛を隠せない
整えられたシーツはひんやりと冷たく、私の溢れる熱を吸い取っていく。
仰向けで、天井を見たまま静かに息を殺していた。
私の右側には夏樹くんがいるーー。
少し頭を傾ければ見えてしまう。
それに、夏樹くんは何故か私の方を向いて寝ているのだ。
もし、目が合ったら?ーー私の全身はゆでダコのように沸騰してしまうだろう。
いくら部屋が暗くて、窓から入る月明かりのみだとしても、私が赤くなっているのは分かってしまう。
ーーダメダメ。
こんなに考えちゃうから、余計寝れなくなるのだ。
私は、固まっていた身体を無理やり動かして、夏樹くんの居ない、壁側を向いた。
それでも、寝るには時間がかかりそうだけれど、目を瞑る。
外の虫の声と、時折廊下を通る足音が小さく聞こえる。
それを子守唄代わりにしていると、背後でモゾモゾと動く音が聞こえた。
「紗知先輩、寝ちゃいました?」
小さく囁くような声に、ビリッと全身が痺れた。
目を開けず、すぅーと寝息を醸し出してみる。