後輩くんは溺愛を隠せない
「きっと、実績上げてるのも客に媚び売ってるからでしょ」
勘違い?なんの事だろう......。
それに、お客様に媚び売った覚えもない。
酷い言われようだ。
チラッとバレないように中を覗いてみると、そこにはいつも陰口を言ってくる4人がいた。
「今まで指導なんかしてこなかったのに、いきなり担当したのが黒瀬くんってありえないでしょ」
「きっと、実績も半分以上、彼のを横取りしてるのよ」
たしかに、夏樹くんは凄いけれど、別に横取りしている訳では無い。
夏樹くんがやったことはしっかり評価しているつもりだし、夏樹くんの実績に入れている。
この人たちは何が言いたいんだろう......?
しばらくこのまま聞いていると、言いたい放題の言葉に私は出ていくタイミングを逃してしまった。
仕方ない。
飲み物は水が少し残っているから、それで我慢しよう。
そう思い、何も買わずにその場から静かに戻った。
「あれ?紗知先輩買わなかったんですか?」