後輩くんは溺愛を隠せない
飲み物を押し付けられている私と、満面の笑みの夏樹くんを見て、私にだけ見えるように睨みつけてきた。
何が気に入らないのか、私には分からない。
気にするだけで時間の無駄だし、放っておこう。
私も自分のお弁当を広げて、夏樹くんから貰ったストレートティーを飲みながら一息つく。
私も自分で作っているけれど、夏樹くんの方が美味しそうだ。
自分のクオリティに心の中で落ち込んでいると、夏樹くんから声がかかった。
「紗知先輩の美味しそうですね、ひとつ下さい!」
「何言ってんの?夏樹くんの方が美味しそうじゃん」
「じゃあ、交換しましょ。俺卵焼きください」
そう言いながら、すでに私の弁当箱から卵焼きが持っていかれる。
「あぁ~!」
卵焼きは、今日の自信作。
上手く巻けたので食べるの楽しみにしてたのにーー。
「あれ?卵焼きダメでした?じゃあ、俺のあげますね」
「っ!?」
はい、あ~ん。と口元に差し出される美味しそうな卵焼き。