後輩くんは溺愛を隠せない


ーーあぁ、もう何考えてるの?


人前であ〜んとか、恥ずかしすぎる!


きっと夏樹くんは何も考えずやったことだろうけど、私は意識してしまうし、それに......恥ずかしい反面、嬉しかった。


あんなことされたら、夏樹くんの事もっと好きになっちゃう。


今すぐ叫び出したい。


落ち着けーー、もうすぐ午後の勤務が始まってしまう。


幸いにも、午後1番の予約はなかったので、みんなの視線を避けるため、私は午後が始まるギリギリに戻った。


さっきのことは、一旦頭の奥の方に閉まっておこう。


じゃないと仕事どころじゃなくなってしまう。


夏樹くんの方を見ないように、パッと自分のデスクに戻った。



「紗知先輩、遅かったですね?」


「ま、まぁね」



夏樹くんのせいだと言いたかったけれど、言葉を飲み込んで言わなかった。



「あれ?」



パソコンを開いて、資料の続きを見ようとしたのに、あるはずのデータがない。


パソコンの横を見ると、つけっぱなしにしていたUSBがなかった。

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