後輩くんは溺愛を隠せない
また印刷すればいいだけなので、仕事に影響は出ていなかったから。
だけど、今回は違う。
これがなかったら、お客様の予約に間に合うか分からなかったのだ。
資料を一緒に作ってくれている夏樹くんにも、お客様にも迷惑をかけることになったかもしれない。
私はそれが許せなかった。
「ちょうど良かった、私も話があるの。仕事が終わってからでいい?」
「えぇ、分かったわ」
私が威勢の良い返事をしたからか、少し怯みながら去っていった。
一体、なんの話しがあるのかーーなんて、さっきの様子から想像しても、いい話でないのは、間違いなさそうだ。
私は手に持っているUSBをぎゅっと握りしめた。
「夏樹くん、あったよ。探してくれてありがとう」
デスクの下に潜り込んでいないか探してくれていた夏樹くんに、お礼を伝える。
「あったんですね!良かったです。どこにあったんですか?」
「ん~......、さっき廊下で落としちゃったみたいで、隅の方に落ちてたの」