後輩くんは溺愛を隠せない



「そうなんですね。見つかって良かったです」



ーー捨てられていたなんて、素直に言えるわけがなかった。


それも、故意に......なんて尚更。


夏樹くんには、探るような視線を向けられたけれど、気付かないふりをして仕事に戻った。



***



仕事も定時で終わらせ、私は覚悟を決めて立ち上がる。



「夏樹くん、今日はやる事あるから先に帰ってていいよ~」



じゃあね、と私は夏樹くんの返事を聞く前にその場から離れた。


廊下に出ると、お昼の時に話した人だけではなく、陰口を言っていた全員がいた。


まさか、1対4になるとはーー。



「柏木さん、着いてきてもらえるかしら?」


「いいけど、どこに行くの?」



リーダーっぽい人に言われて聞いたけれど、私の問いに返してくれた人は居ない。


ただ話があるって訳では無さそうだ。


後をついて行った先は、いつも使っている資料室だった。



「さて、柏木さんはどうして呼び出されたのか分かっているわよね?」


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