後輩くんは溺愛を隠せない
「そうよ!近づいてタダで済むと思ったら、大間違いなんだから」
私に弁解の余地はないらしい。
仕事で迷惑をかけられたことや、危うくお客様にまで影響が出そうだったことを怒ろうと思ったのに、いつの間にか話が違う方へ行っている。
だけど、この言葉を聞いてわかった。
彼女たちは夏樹くんが好きなんだろう。
初日に、女性の目が怖いと思った、私の予想が当たってしまったのだ。
「これを期に痛い目を見たくなかったら、自分から離れることね」
最初に話しかけてきた、リーダーっぽい人にそう言われ、ドンッと突き飛ばされる。
考え事をしていたからか、反応が遅れたーー。
気づいた時には、背中に衝撃が走り、私は床に転んでいた。
「っ......」
無意識に踏ん張ったせいか、右足を捻ったらしく立ち上がろうとしたら痛みが走る。
足を抑えて痛みに耐えているうちに、彼女たちは廊下に出ていて、気づいた時には扉が閉まる直前だった。
「ちょっ、待って!」