後輩くんは溺愛を隠せない


私の願いは届かず、思い扉がガチャンと音を立てて閉まる。


そしてすぐに鍵のかかる音が聞こえた。電気も消される。



「え?」



まさか、そこまでされると思わなかった。


この資料室の電気をつけるスイッチは何故か外にあるため、中からは付けられない。


試しに、痛む足を引きずって扉を押してみたけれど、ガチャガチャと音を立てるだけで、動くことは無かった。



「どうしよう......」



今は7月で日が長くなったとはいえ、話している時間が思ったより長く、外は既に暗くなっている。最悪なことに、今日は曇っていて月明かりも入らない。


連絡して誰かに開けてもらおうかと思ったけれど、すぐに終わると思って、ケータイごと荷物は置いてきてしまっていた。



「見つけてもらうのを待つしか無いか......」



それも、夏樹くんに先に帰っててと言ってしまったので、見つけてもらうのは難しいかもしれない。


そうなると、長い時間私はここに居ることになるだろう。

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