後輩くんは溺愛を隠せない
それにーー、さっきから雷の音がどんどん大きくなっている気がする。
ドーンと雷が落ちる音がする度、私の身体はビクッと震えた。
暗いところで、雷も来るなんて、最悪だ。
誰でもいいから早く来てーー、私はそう願っていた。
ぼーっとしていたら、いつの間にか廊下をバタバタと走る音が近づいてきた。
気づいてもらえるかも!そう思って顔を上げたけれど、冷えきった私の身体は動こうとしない。
あぁ、ダメかなーーそう諦めた時、部屋の扉が音を立てて開いた。
「紗知先輩?居ますか?」
夏樹くんの声だ。
なんで居るんだろう?そう思ったけれど、それよりも来てくれたことが嬉しい。
私は返事をしようと口を開ける。
「こ、こ......」
でてきたのは、震えたか細い声だった。
だけど、夏樹くんにはそれで十分だった。
聞こえたらしく、奥まで覗いてくれた。
そして、私と目が合った瞬間、急いで駆け寄ってくれた。
「っ、ーー紗知先輩大丈夫ですか?」