後輩くんは溺愛を隠せない


それで、嫌だと言った所でこの決定は覆らない。


何を言ったって、私には応援して送り出すしか選択肢がないのだから。



「ーーうん、夏樹くんも頑張ってね」



寂しくなるけれど、私にはこういうしか無かった。



「はぁ......、可愛すぎるっ!!」



ただ、応援しただけなのに、どうして?


いつの間にか、私は夏樹くんに抱きしめられていた。


それだけで、私は嬉しくなってしまう。


恥ずかしさもあるけれど、離れ難い、寂しい気持ちが紛れる気がした。



***



夏樹くんが本社に異動して1週間。


早くも私は寂しくなっていた。



「はぁ......」



夏樹くんが居る最後の日、突然の事なので、送別会も出来ず、終業後にお花を渡しただけだった。


たった約3ヶ月だけなのに、もっと一緒に居たような気がする。


夏樹くんは、今までの人と全然違った。


初めは指導なんてしたくないと思っていたけれど、今では夏樹くんの指導に付けて、良かったと思っている。

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