後輩くんは溺愛を隠せない


そして、最後は笑顔で送り出そうと思っていたのに、夏樹くんの言葉で私は大号泣した。



「紗知先輩、俺、紗知先輩に教えて貰えて良かったです!すごく勉強になったし、仕事の楽しさを教えて貰えました。ありがとうございました」



その言葉を聞いた時に、指導を引き受けて良かったなと思ったのだ。


今までの人と全く違う言葉に、自然と涙が溢れてきた。



「こちらこそ、夏樹くんが来てくれて良かった。ありがとう」



私はそう言って、泣きながら夏樹くんを送り出したのだ。


それ以降、また1人での仕事に戻っていた。


思い返していると、私のため息を聞いた胡桃がくるっとこっちを振り向いた。



「紗知先輩、ため息つくと幸せ逃げちゃいますよ~」



そう、冗談交じりに言ってきた。


そして、春奈も......。



「紗知、黒瀬くんが居なくなって寂しいんでしょ?珍しく泣いてたもんね~」


「そ、そんなことーー」



無いとは言えなかった。


その通りだ。

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