後輩くんは溺愛を隠せない
夏樹くんが居るのが当たり前になってしまって、仕事を任せようと声をかけそうになった。
それに、一人で帰る帰り道は長く感じる。
それくらい、夏樹くんの存在が私の中で大きくなっていた。
「よし、今日は気分転換しよう。2人とも今日飲み行こう!」
このままじゃダメだと思い、明るく声をかけた。
「あ、ごめん、今日無理だわ......」
「紗知先輩、すいません私も今日は......」
2人とも行けないらしい。
タイミングが悪かったみたいだ。
たまに、こういう日もある。
だけど、私は既に飲みに行く気分になっていた。
しょうがないーーひとりで行こう。
「そっか、しょうがないね。また今度行こう」
「ごめんね」
「すいません」
2人とも申し訳なさそうに言ってきた。
そんなに気にしなくてもいいのに。
「気にしないで、今日はひとりで少しだけ行ってくるよ」
「紗知、飲みすぎないようにね?」
「うん」
話しているうちに、定時が過ぎていたので、2人は最後まで私に“飲みすぎないように”と言って帰っていった。