後輩くんは溺愛を隠せない
「それで、さっちゃんは、お酒はどんなのが好きなんだっけ?」
そうだった、何飲む?って聞かれていたのを忘れていた。
ここにはメニューが置いていないので、何を頼もうか迷ってしまう。
それに、いつもは同じようなのしか飲んでいないので、他のメニューは覚えていなかった。
「えっと、ビールは苦手なので甘いのなら......」
「分かった。俺のオススメでもいい?とっておきがあるんだ」
瀬田さんは、そう言って、テキパキとカクテルを作り始めた。
1分も経たずに、私の前に置かれたカクテルは透き通ったオレンジっぽい赤色だった。
「これは?」
「紅茶のお酒だよ。こないだ入った新作でまだメニューには載せてないやつ。さっちゃん、きっと気に入るから飲んでみて?」
紅茶は好きなので、その紅茶のお酒と聞いて、私はテンションが上がる。
でも、メニューに無いものを飲んでしまっていいのだろうかーー。
そんな私の不安を瀬田さんは見抜いたように言った。