後輩くんは溺愛を隠せない
2.溺愛宣言


カタカタとパソコンと向き合っていると、いつの間にか18時になっていた。


いつも17時の定時で帰る私が、まだ残っているのは珍しい。



「はぁ......」


「紗知先輩、ため息つくと幸せ逃げちゃいますよ?」



早く帰りたいーーと思っていた私は、その声に顔を上げる。


誰のせいだと思っているのだ......。


夏樹くんの指導係になって、今日は初日だからと、ほとんどが見学だった本人とは違って、私は教えるための準備をしなくてはいけない。


今日は予約も多く、余裕のなかった私は通常業務が終わってから準備をするしかなかった。



「そんなことより、日報は書けたの?」



一日の終わりには、どのお客様とどこまで話が進んだのかをまとめて、日報を書く。


新人の夏樹くんは、今日学んだことを書いたはずだ。



「はい!終わりました」




そう言って、差し出された紙をサッと読む。


綺麗な文字で、丁寧に今日気づいたことやお客様の様子が書いてあった。

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