後輩くんは溺愛を隠せない



「さっさと伝えないと、誰かに取られるぞ?」



余計なお世話だと言ってやりたい。


先輩相手に言わないけれどーー。


そんな会話をしていると、ピコンとチャットの通知が鳴った。



「ん?」



開いてみると、北見さんからだ。


異動する前に、連絡先を教えてもらったのだ。



「お?彼女からか?」



清瀬さんは、相変わらずからかうように言ってくる。



「違いますよ」



さすがに、その会話内容まで見るつもりはないのか、少し離れてくれたので、俺は北見さんからのチャットを開いた。



(紗知が、告られたって!)



その一言に、思わず飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった。


清瀬さんがさっき言っていた言葉が、頭をよぎる。


紗知先輩が誰かに取られる?そんなの、絶対に嫌だ。


今は、時間的に北見さんも、お昼休みに入っていると思うので、直ぐに返事を返す。



(ぜひ、詳しく教えてください)



俺の、真剣な雰囲気に清瀬さんも何かあったのだと察した様だった。

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