後輩くんは溺愛を隠せない
まるで、さっき適当にあしらった仕返しだとでも言うような表情だ。
清瀬さんの顔には、こんな面白そうなこと逃してたまるかと書いてあるように見えた。
言って、休みをくれるなら言うしかないのか......。
「さっきの彼女が、告白されたらしいんです。後悔したくない。取られる前に伝えに行きたいんです」
普通なら、こんな理由で休みを貰えるなんてありえないだろう。
でも、清瀬さんに嘘を伝えてもどうせバレると思うので、本当のことを言うしか無かった。
「それ、お前やばいじゃん。いいよ行ってこい!ただ、行くからには他のやつに取られんなよ?」
「っ!ありがとうございます」
まさか、こんなにすんなり許可を貰えるとはーー。
清瀬さん、かっこいい。俺もこんな風に言えるようになりたい。
そう思いながら、俺は北見さんに返事を打った。
(教えてくれてありがとうございます。来週の水曜日にそっち行きます)
(分かった、黒瀬くん紗知のこと頼んだよ)