後輩くんは溺愛を隠せない
「うん。大丈夫だね。お疲れ様、今日はもう帰っていいよ」
そう言って、確認した日報を返す。
「......紗知先輩は帰らないんですか?」
「もう少しやることがーー」
そこまで言ったところで、春奈が遮ってきた。
「紗知~終わった?明日は土曜で休みだし、飲み行こうよ!」
既に業務を終わらせたらしい春奈は、帰り支度バッチリでカバンを持っている。
終わったらすぐに帰りたいとは思っていたけれど、急に指導係にされたので、愚痴を聞いてもらいたい。
なので私は、春奈の誘いに乗った。
「いいよ。あと少しで終わるから先に行ってて。いつものところでしょ?」
「うん。胡桃ちゃんも来るみたいだから、先に行って待ってるね」
たまに、2人で飲みに行くこともあるけど、殆どは胡桃も着いてくる。
なんだかんだで、楽しいからいいのだけれどーー。
「ーー紗知先輩......!」
「......な......に?」
私たちの会話を聞いていた夏樹くんは、何故か目を輝かせている。
嫌な予感がーー。