後輩くんは溺愛を隠せない
「紗知もう行っちゃったよ?」
どうやら、すれ違っちゃったみたいだ。
俺が来る前は、必ず定時で帰っていたらしいし、しょうがないか。
「ありがとうございます。店の方行ってみます!」
俺はそう言って、行きなれた飲み屋までの道に向かった。
「黒瀬くん、頑張ってね?」
「頑張ってください!」
北見さんはまだしも、斉藤さんもこれから俺がやる事を知っているらしい。
2人ともニヤッと笑いながら送り出してくれた。
「はい。行ってきます」
俺はそう言って、その場を駆け出した。
お店は近くにあるため、走れば3分もかからない。
お店の前に付き、持っている鞄をぎゅっと握りしめて気合を入れた。
「よし!紗知先輩、今行きます」
俺は小さくそう呟いてから、お店に続く階段を降りて行ったーー。