後輩くんは溺愛を隠せない
カランコロン~といつもの音が、私を出迎える。
「いらっしゃいま......さっちゃん」
音に反応して、入口を見た瀬田さんは、私を見ると何かを悟ったみたいに、静かな声を出した。
「瀬田さん、今大丈夫ですか?」
「うんいいよ。カウンター行こうか」
瀬田さんの後に続いて、私はこないだ来たカウンター席に行く。
そして、同じ席に座り、覚悟を決めた。
「こないだの返事......だよね?」
私が口を開く前に、瀬田さんが切り出してくれた。
正直、どうやって言おうと思っていたから、有難かった。
「はい。あの......」
やっぱり、断るのは言い難い。
だけど、ここまで来たんだから、伝えるしかない。
「ごめんなさい......、私、好きな人が居るんです」
「ーーやっぱり、ダメだったか......」
瀬田さんは、しょうがないとでも言うような表情をしていた。
まるで、私の返事が分かっていたとでも言うように。