後輩くんは溺愛を隠せない
「あ、柏木さん?あの子凄いんだよ。実績はトップクラスで、お客様からの指名があるほど人気なんだ。なに、君、彼女の事が気になるの?えっと、夏樹くん......だっけ?」
さっき会ったばかりなのに、図星をつかれてしまった。
「あ、黒瀬夏樹です。ちょっと気になっただけです」
ちょっとどころじゃない、本当はすごく気になっている。
でも、さすがに恥ずかしいのでそこまで素直には言えなかった。
なのに、この人には全てバレていたみたいだ。
「名前は柏木紗知さん、今は彼氏居なかったはずだよ?」
この人は、俺の聞きたかったことを教えてくれた。
彼氏が居ないと聞いて、明らかに表情が明るくなったのを感じた。
「夏樹くんさ、そんなに気になるなら、ウチの支店に入社する?」
冗談半分でそう言われた言葉に、俺が反応するのは早かった。
「いいんですか?」
「もちろん、やるからにはちゃんと仕事はしてもらうよ?」
「はい!」
こうして、俺の就職先が決まったのだった。