後輩くんは溺愛を隠せない
突然だったので、帰って直ぐに父さんにも話してその支店で研修させて欲しいと頼み込んだ。
既に決まっていた会社には、辞退の電話を入れてある。
そして、4月の1ヶ月間で、俺は仕事のことを叩き込んで、5月から支店に行くことを許して貰えたのだ。
***
「だから、実は、紗知先輩には俺が入社する前に会ってるんですよ」
話を聞いて、びっくりする。
まさか、初対面がもっと前だったとは思わなかった。
「じゃあ、部長とも入社する前から知り合いだったの?」
「はい、部長の声もあって、俺が支店で研修できることになったんです。ーーまさか、こんなに短いとは思わなかったですけど」
夏樹くんが来た日、部長が“あいつなら大丈夫だ。
お前に着いていくよ”そう言ったのは、この経緯があったから自信を持って言えたのか。
どうして、確信を持って伝えてきたのか疑問だったけれど、今ならわかる。
まさか、部長が誘っていたとは思ってもいなかった。