後輩くんは溺愛を隠せない
「部長のせいですからね!なつ......黒瀬くんのやる気が無くなっても知らないですからね!」
部長の前でも、“夏樹くん”って言いそうになり、慌てて言い直す。
「あいつなら大丈夫だ。お前に着いていくよ」
部長が、どうしてそう思ったのかは分からないけど、今の私には荷が重いように感じた。
「......お疲れ様です......」
どう返事をしていいのか分からなかった私は、そう言って、踵を返した。
残っている人達にも挨拶をして、みんなが待っているお店に向かう。
歩いて5分ーー。
職場の近くのオシャレな居酒屋で、料理もお酒も美味しい。
仕事終わりの時には、いつも大体ここだ。
そしてーー実は穴場だったりする。
あまり目立たない看板が置いてあり、そこから地下に続く階段を降りて、木の扉を開けた。
カランコロン~
中に入ると、身長175センチ位のお兄さんが出迎えてくれた。
既に顔見知りになっていて、前に話した時に、1つ年上だと知ってから結構話すようになった。