後輩くんは溺愛を隠せない
彼の名前は、瀬田 遥斗(せた はると)私は瀬田さんと呼んでいる。
「いらっしゃいませ」
「こんばんわ~、みんな来てます?」
「さっちゃん、いらっしゃい!来てるよ」
瀬田さんは、私の事をさっちゃんと呼ぶ。
他にもお客さん居るのに、名前まで覚えられるなんて凄いことだ。
そう思いながら、みんながいる席を案内してもらう。
「今日は見慣れない顔が居たね?」
「今日入社してきた新人なんです......」
私は苦笑いしながら言った。
瀬田さんも、まさか入社初日だとは思わなかったのだろうーー。
「なるほど......、ここです」
一瞬、キリッとした顔になったけれど、直ぐにいつもの優しい顔に戻った。
ーー見間違い?
そう思ったけれど、気にしないことにしておく。
考えても分からないしね。
「ありがとうございます」
「ごゆっくりどうぞ~」
瀬田さんはにこやかにその場を離れた。
案内された席は個室の座敷で、私はこの店のまったりとした雰囲気が気に入っている。