後輩くんは溺愛を隠せない
「お待たせ~」
中に入ると、ちょうど食べ物が揃った所だった。
春奈と胡桃が隣同士で座っているので、私の席は必然的に夏樹くんの隣になる。
「お疲れ様です。紗知先輩は何にしますか?」
そう言いながら、メニューを渡してくれた夏樹くん。
ーー意外と気が利く......。
「んー、カシスオレンジで」
私はビールが苦手なので、甘いものを頼む。
ちなみに、春奈と夏樹くんはビールだけど、私と同じようにビールが苦手な胡桃はレモンサワーだ。
「分かりました。ーーすいませーん」
そして、あっという間に店員さんを呼んだ夏樹くんが、注文を終えていた。
「あ、ありがとう......」
「さ、紗知先輩に......ありがとうって言われたっ!!」
「......」
何故か変なところで感激している夏樹くんに、私たちは誰もついていけていない。
夏樹くんの、ぶっ飛んだ一面に春奈と胡桃は驚いて、お互いに顔を見合わせていた。